友野の言うそれは、控え目で主張しすぎず、優しい色合いで、まるで私を想ってくれる友野の想いそのもののよう。


「……可愛い……」


「だろ?」


「友野のくせに……」


「どういう意味だコラ。
ほら。頭貸せ。付けてみろ」


そう言って友野は、私の前髪を掬うと慣れた手つきでそれを留めてくれる。


「お。上出来。妹がいるだけあって上手いだろ?」


「褒めるとこそこ?」


「うそ」


「?」


「似合ってる。可愛いよ」



そう言って私の頭を撫でる友野の手が、空っぽだった私の心に温かい気持ちを注いでくれるから……。



「陽伊代?」


「……友野のバカッ」


せっかく我慢していたものが、


「……っ…んで、この…タイミングで……っ」


溢れ出してしまった。


私は友野の服を掴み、訴えるようにそれを揺さぶる。


「ふられ…ちゃったんだから…っ!友野の…せいなんだから……っ」


「……っ」


友野が私の身体を引き寄せて、強く私を抱きしめる。


「全部……終わっちゃったっ……!今度こそ……悠太先輩を……諦めなきゃ……っうぅ〜っ…」