当主の話も終わったようなので、自室に戻ることにした。 ろうかを歩いていると、近くのバルコニーにお嬢様の姿があった。 「風邪をひきますよ。そんなところにいては。」 「もう春よ?」 それもそうですが。 「何してるんですが?」 「月」 月? 「ここからだと、一番綺麗に見えるの。」 「へぇ…」 確かに、ここらへんには高い建物もないし、 俺の部屋から見るよりは綺麗な気もしなくもない。 .