そして、小学校にチラシを届ける日。
スーツを着て、あらかじめ連絡しておいた小学校を営業車でまわっていく。
事前に連絡してあるからスムーズに進み、最後に亮太と葵が勤務している南小学校へ向かった。
移動前に亮太へ連絡したけど、授業中なのか返事はなかった。
「失礼します」
職員室へ入ると、だいたい教頭先生や庶務担当が応対してくれることが多かったけど。
ガランとした職員室で振り向いたのは、葵だった。
「・・・葵?」
「こんにちは、ご用件は何でしょうか?」
チラッと俺を見たあと、すぐに目線を外した葵は、まるで他人と話すように事務的な対応だった。
「葵、俺だよ、橋本朔。
夢をかなえたんだな、おめでとう。
そういえば葵、いま授業中じゃないの?」
「3年生を受けもっていて、今は音楽の時間なので」
「そっか、あ、これ、事前に連絡しておいてあるチラシ。
配布よろしくな」
「わかりました」
葵は、あくまでも他人行儀な態度を崩さなかった。
どうしてだよ、葵。
俺とのことを、なかったことにしようとしてんのかよ。
前みたいに話してくれればいいだろ。
葵への想いが、あふれそうになった。
葵がチラシを受け取りに近づいた瞬間、
「葵、どうしていなくなったんだよ」
素直な気持ちをぶつけた。
葵は黙ったまま、うつむいている。
「俺、葵のこと信じてたのに。
何かあったんなら、ちゃんと説明してくれよ。
じゃないと、俺、葵のことあきらめられない。
亮太とつきあってんのも知ってるけど、俺にも彼女いるけど、葵のことまだ好きなんだよ」
その時チャイムが鳴って、授業が終わったことを知らせた。
俺はとっさに、名刺の裏に携帯番号を書いて葵の手に握らせた。
「必ず連絡してこいよ、待ってるから」
ガラガラッと職員室の扉が開き、入ってきたのは亮太だった。
スーツを着て、あらかじめ連絡しておいた小学校を営業車でまわっていく。
事前に連絡してあるからスムーズに進み、最後に亮太と葵が勤務している南小学校へ向かった。
移動前に亮太へ連絡したけど、授業中なのか返事はなかった。
「失礼します」
職員室へ入ると、だいたい教頭先生や庶務担当が応対してくれることが多かったけど。
ガランとした職員室で振り向いたのは、葵だった。
「・・・葵?」
「こんにちは、ご用件は何でしょうか?」
チラッと俺を見たあと、すぐに目線を外した葵は、まるで他人と話すように事務的な対応だった。
「葵、俺だよ、橋本朔。
夢をかなえたんだな、おめでとう。
そういえば葵、いま授業中じゃないの?」
「3年生を受けもっていて、今は音楽の時間なので」
「そっか、あ、これ、事前に連絡しておいてあるチラシ。
配布よろしくな」
「わかりました」
葵は、あくまでも他人行儀な態度を崩さなかった。
どうしてだよ、葵。
俺とのことを、なかったことにしようとしてんのかよ。
前みたいに話してくれればいいだろ。
葵への想いが、あふれそうになった。
葵がチラシを受け取りに近づいた瞬間、
「葵、どうしていなくなったんだよ」
素直な気持ちをぶつけた。
葵は黙ったまま、うつむいている。
「俺、葵のこと信じてたのに。
何かあったんなら、ちゃんと説明してくれよ。
じゃないと、俺、葵のことあきらめられない。
亮太とつきあってんのも知ってるけど、俺にも彼女いるけど、葵のことまだ好きなんだよ」
その時チャイムが鳴って、授業が終わったことを知らせた。
俺はとっさに、名刺の裏に携帯番号を書いて葵の手に握らせた。
「必ず連絡してこいよ、待ってるから」
ガラガラッと職員室の扉が開き、入ってきたのは亮太だった。