いまの葵をつきつけられてから、朱里のことを考える余裕はなくなってしまった。


朱里も、俺の態度が変わったのに気づいてるようだったけど、波風たてたくないのか、何も言ってこなかった。



何もないまま、季節は巡ってゆき。


社会人3年目の4月を迎えた。


仕事は順調だったし、不満はなかったけど。


朱里とは、ズルズルつきあって、もうすぐ1年になる。


去年のゴールデンウィーク休暇にサッカー観戦行ってからつきあうようになったんだよな、なんて他人事みたいに考えている俺がいる。


どうしていいのかわからない気持ちと。


朱里とちゃんと向き合いたい気持ちと。


もどかしい気持ちを抱いたまま、日々を過ごしていた。



4月から練習メニューを考えたり、日程を組んだり、細かい仕事も任せてもらえるようになった。


そして、ゴールデンウィークの体験レッスン生募集のチラシを作り、会社近くの小学校へ配ることになった。


いくつかまわる小学校の中に、亮太が勤める南小学校もあった。


亮太がいるということは、葵もいるってことだよな。


会えるとは限らないのに意識してしまい、葵の勤務先へ向かう日を指折り数えて待っていた。