葵を偶然みかけた日から、俺たちは会わなくなった。


葵が弁解してくれれば、許すつもりだった。


だけど、葵から一切連絡はなかった。


弁解もしないってことは、何かやましいことがあるってことなんだ、って自分を納得させた。


キャバクラ時代の客とつきあってたってことか。


それとも、キャバクラのバイトを再開したとか。


何にしても、葵は俺を必要としてないってことだよな。



一週間くらいたった頃、葵のアパートへ行ってみたら、すでに部屋は空き部屋になっていた。


お母さんは、また入院したんだろうか。


葵はどこへ行ってしまったんだろう。


どうしてまた、俺から離れていくんだよ。



洋介や、大学の友達の亮太や奏に話しても、


「やっぱ、住む世界が違うってことじゃねーの?」


「お互い気をつかってまでつきあうことないんじゃん?」


「連絡してこないっていうのが、答えじゃね?」


葵を否定されてるようで辛かったけど、日がたつにつれて傷は少しずつ癒えていった。



大学3年になり、小学校教師を目指す亮太につられて、奏が教職課程をとるっていうから、なんとなく俺も履修することにした。


授業に教職にゼミ、そしてサークルとバイトに、就活準備。


めちゃくちゃ忙しかったけど、忙しくしてないと葵のことを考えてしまうから、スケジュールはいっつもギッチギチにしてた。


そして4年になり、教育実習をするため高校へ通う3週間が始まった。