「ありがとう。」

笑顔でそう言った茉依は、言い終えるとすぐそのまま立ち去った。

俺は急いで大きな声を出した。

茉依に聞こえるように。

「茉依!
 

 ・・・・ごめんな!!!




 ———————ありがとう。」


—————————届け。俺の想い。

一瞬立ち止まった茉依は、俺がいい終わるとまた走っていってしまった。


茉依の足音が全く聞こえなくなり、周りは静寂に包まれた。

「はあ...」

そんな中、俺のため息が響く。





最後の笑顔を思い出しながら、思う。


・・・好きだった。茉依のこと。

クリスマスの時、はっきり気づいた。

その感情が恋愛感情であると、気づいてしまった。


...でも、それに気づいた同じ時期、茉胡が前よりもたくさん俺に関わってくれた。


—————そばにいてくれた。


茉依と佐伯が一緒にいるところを見るのは、本当につらかった。


きっとそんな俺をどこかで見てくれていたんだ、茉胡は。


どんな時も笑顔で、俺のそばにずっといてくれた。

必要にとしているときも、そうじゃないときも。ずっと、

そしたら、いつのまにか茉依以上に茉胡を本気に好きになってた。


茉胡と付き合い始めたころよりずっと、もっと大きくて確かなもの。


茉胡を命かけて守ろうと本気で覚悟を決めた。