「茉依ー!!おはよー!!」

「おはよ。」

相変わらず元気な茉胡。

去年のバレンタインデーあたり、茉胡は全く澄さんの話をしなくなった。

心配していたけど、バレンタインデー過ぎたあたりから、また澄さんのことを話すようになった。

それが、うれしくも悲しくもあった。




————私はまだ、澄さんを諦められない。




そして、今日から私たちは、3年生になった。


「いよいよ、3年かー...
 受験だあああ!!いやだあああ!!」

「・・・そうだね。」

もともと部活をしていない私たちは、ほかの人よりも時間はあるものの、もしかしたら部活をしている人たちよりも勉強していない気がする。

そんな私たちにとって、『受験』は恐怖の言葉だった。



「おはよー!!」

教室に入るなり、隣の茉胡は元気にあいさつをする。

教室は変わっても、クラスメイトは変わらないし、席も名簿順で去年の今日も全く変わらないから、新鮮味はない。

枩谷である茉胡と離れ、自分の席に座る。

「おはよう。古内さん。」

「あ、おはよう。佐伯くん。」

名簿順で座れば、佐伯くんは私の隣。

クリスマスデート以来、2人で遊びに行くことはなかった。

でも、友達としては、仲良くやっている。

「よーしほらみんな席につけー。」

乙田先生が教室に入ってきた。