クリスマスの日の夕方。

俺は、目を疑った。


俺はいつも、家から駅まで歩いて、電車移動、学校の最寄り駅で降りて、学校までは徒歩で通っていた。

それはもちろん、交通費をうかせるためもあるが、生徒と一緒に同じ道を歩くということが、俺はたまらなく好きだから。


そして俺は今日も、日曜日でありながら、講習のあった勤務先である学校から駅まで、歩いていた。



「・・・ー。もう...か。は...なあ。」

駅が見えたころ、微かにそう聞こえた。

聞き覚えのあるその声に反応した俺は、足を止めて、あたりを見回す。

この駅には毎年、この時期になると大きなクリスマスツリーが設置され、今年もその大きなクリスマスツリーは人々の注目の的だった。

「ここ......、去年み...もすげーって思ったんだよね。」

さっきの声と同じ方向から、どっかで聞いたことのある声も聞こえた。

ツリーの裏側まで見ると、そこには佐伯と、茉依が二人で並んでツリーを見上げていた。



・・・え?

ドクンッ———————



疑問の言葉は口に出ることなく、心の中でつぶやかれた。

同時に、俺の心臓はいやな音をたてた。


「そっか、よかった。」

2人は俺に気づくことなく、会話をしていた。


なんで、茉依が佐伯と一緒にこんなところに...?