「そんなことないっ!から、大丈夫。」

「・・・ありがと。
 それで、夏休みが明けて席替えで席が近くなって、学校でも話せるようになって。
 俺は、前と違う”好き” の感情を持ったんだ。
 憧れとしてではなく、俺のものにしたいっていう”好き” が。」

「・・・・・」

「俺が、古内さんを助けたい。
 俺が、古内さんを甘やかしたい。
 俺が、誰よりもそばで古内さんの笑顔を見たい。
 俺だけが、古内さんの涙を拭いてあげたい。」

さっきまでと違って、言葉が出なかった。

さっきまでは、あえて何もしゃべらず、佐伯くんのいうことに耳を傾けていた。

でも、最後の言葉に、私の思考が止まった。

————まるで、私が叶わない恋をしているのを、知っているみたいな口調だったから。


「だから、俺の彼女になってほしい。」

「・・・・・・・・・
 

 あの、ね。私、佐伯くんとたくさん話せるようになって、すごく毎日が楽しいよ。
 でも、私は佐伯くんのこと、友達だと思ってる。」

「・・・・・・・」

「2回も、私なんかに言ってくれたのに、こう答えることしかできないのは申し訳ないと思ってる。
 でもね、でも、佐伯くんに告白されて、佐伯くんとお友達になって。
 私は変わったから。茉胡以外でこんなに話せる人初めてで。
 だから、あの、えっと。その・・・」