「・・・言わなかったのは、知り合いって言うほど近くないから。
 幼馴染は、附田先生、じゃないよ。」


お願い。なにも、なにも言わないで。

これ以上、なにも。

私は、2人が大好きだから。大切だから。

だから、自分の想いを心の奥底に押しつぶした。

・・・2人を傷つけないために

きれいごとでも、何でも、それが私の本心だった。


—————笑っていてほしい。

親友のために、私は精一杯のウソをついた。


それでも、どうしても、茉胡の目を見て話すことはできなかった。

そのあと、走り去っていってしまった茉胡。


放心状態で、私はそのあとのことをあまり覚えていない。




茉胡と話さなくなってから2週間近くが経った。

「ねえ、茉胡。」

昼休み、茉胡の席に言って茉胡に話しかけた。

夏休み明けの席替えで、また席が離れてしまった。

まるで、私と茉胡の心を表しているような気がして、悲しかった。

茉胡はあれからいつも一人でいるようになった。

もちろん、人気者の茉胡はいろんな人に話しかけられていたけど、そのうちの誰かと一緒にいることはなかった。

こんな状況でも、それがうれしかった。


ああ。やっぱり私の親友は茉胡しかいないんだ、と。そう思えたから。