謎すぎて、いろいろ考えていたら、影が近づいてきた気がした。

急いで紙を後ろに挟み、運転席に置いておく。

「ごめん、待たせたな。」

「ううん、大丈夫。」

「はい、ココア。ん?あ、手帳?」

「あ、ありがとう。
 あ、うん。落ちてたから拾っておいた。」

「そっか、ありがと。
 ・・ふー、よし。じゃあ、千葉に帰るぞ。」

「...うん。」

さっきのことがまだ頭をぐるぐる駆け巡っているうちは、曖昧にしか返事が返せなかった。



それから、車内はしばらく無言だった。

「・・・茉胡?疲れてたら寝ていいんだよ?
 ちゃんと起こすから。」

うちがなにもしゃべらないのをつかれているからだと思ったらしい澄さんが、そう声をかけてくれた。

帰りはうちの最寄り駅の近くにおろしてくれることになっている。
これも誰かに見られないように、念には念を、のやつだ。

「うん...」

・・・でも、今は違う。

さっきからぐるぐる、頭の中を駆け巡っているものがある。

それは、”茉依と澄さんの関係”

...聞いてもいいのだろうか?

でも、澄さんのプライベートなことだからなあ...

もし仮に、仮に聞いて知り合いだった場合。

どうして、茉依は澄さんのことをうちに教えてくれなかったんだろう?

・・・気になる。気になる!気になる!!!