「・・・ん?」

近づいてよく見てみると、それは手帳みたいだった。

とりあえず拾おうと手を伸ばした。

「・・・あっ!」

でも、思ったより分厚くて、声をあげたときには何かメモのような紙がひらひらと落ちてしまっていた。

「あー、やっちゃった。
 早く戻さないと。」

チラッと前を見てみたけど、まだ澄さんが来る様子はない。

急いで元に戻そうと紙を拾い上げた瞬間、うちは目を疑った。

「・・・え?」

そこには、

『お誕生日おめでとう。
 澄にいにとって、素敵な1年になりますように...』

と書かれていた。

いや、内容は問題ない。

問題なのは...これが書かれてある”字”

これって...


———————茉依の字?


いや、まさか、ありえないか。

澄さんと茉依が知り合いなわけないし。

そう思って、もう一度字を見てみると、

「...いや、やっぱり似てる。」

というか、そのまんまだ。

中学校からずっと一緒にいて、テストの前には一緒に勉強会もしている。

だから、茉依の字はよく見ているし、見慣れている。

見間違えるはずないと思うんだけど...

でも、親戚なわけないし...

第一、親戚だとしたら、うちに言ってるよね。

「んー・・・」