「・・・どうして?どうして...」

「だって、その人。」

うちの聞きたいことがわかったのか、一旦そこで言葉を止めて、茉依はこう続けた。

「その人・・・

 カノジョがいるから。」

うちの顔は見ずに、斜め下をずっと見ながら悲しそうに言った。

「・・・そっか。
 何があっても、うちは茉依の味方だからね。
 茉依の応援するって決めてるから!」

「・・・・・・。
 ありがとう。」

茉依に好きな人がいるということを初めて知って、ほっこりした。

けれど、たぶん茉依の初恋が叶うわけではないということ。

やっぱり初恋は叶わないのかな...

せっかく茉依が初恋をしたのに、うちの心は少し沈んだ。



「じゃあ、次は夏休み明けかな?」

「そうだね。」

「うん!ま、もし会えそうだったら会おうよ!」

「うん。」

「じゃあ、またね!!」

「ばいばい。」

「ばいばーい!」

茉依と駅で別れ、家に向かう。

お盆が明ければ、澄さんとのデートが待っている。

茉依と一緒に選んだ服、澄さん喜んでくれるといいなあ・・・。

「・・・それにしても、茉依、どうしてあんなにすっと決めてくれたのかな。
 やっぱり、大人の幼馴染がいると、センスもわかるのか・・・?」

頭をひねらせながらも、澄さんとのデートに胸を躍らせ、家へと帰った。