「・・・ちょっと待ってろ。今氷枕持ってくるから。」

茉依の枕にあった氷枕はもう溶けていて、氷枕の役割をはたしていなかった。

替えてやろうと思って、そういって立ち上がった。

ギュッ———————

けれど、茉依は俺の腕をつかんだ。

力が入らないからか、掴んだというより触ったのほうが近い気がする。

そんな弱い力でも、俺は足を止めてしまった。

「・・・いかないで。そばにいて。
 ・・・夢なんだから。どうせ醒めてしまうんだから。
 だったら、もう少しだけ、幸せな夢を見させて。」

——————ドキッ

「・・・うん。わかった。」

茉依の言葉に俺はその場に座った。

どうして、どうしてだろう。
どうして俺はこんなにドキドキしているんだ。

チラッと茉依を見た。

茉依は幸せそうに俺を見ていて、その姿に再び俺の心臓はドキンッと音をたてる。

「・・・澄にい、あなたが好きです。
 あなたの事がずっと大好きです。」

笑顔で、俺を向いてそういった茉依は、今まで見たどの茉依よりかわいかった。

「・・・・・っ。」

俺が固まっている間に、いつの間にか茉依は寝てしまっていたようで、寝息が聞こえる。