「夢じゃねーよ。」

すると間髪入れずに、茉依が答えた。

「いや、そんなわけない。
 夢じゃなかったら、澄にいが私の心を読めるわけもないし、こんな幸せなことあるわけない。
 澄にいがこんな近くにいて。
 私をすごい心配してくれて、私をお姫様抱っこしてくれて。」

...ん?もしかして、茉依。
心の中でしゃべってると思ってるか?

それに俺が答えてるから、夢だと?

俺がさっきからの疑問が解けて、納得していると、

「—————澄にいのその表情、その仕草。
 今だけ、夢の中でだけでいい。
 だから、今だけ、私のものになって下さい。」

俺の目をしっかり見て、茉依はこういった。

「・・・・っ。」

なんだ、それ。
なんで、そんなこと言うんだよ。

でも、そんなことより。
俺の心は異常な高鳴りを示していた。

「・・・?
 あ、重いよね。ごめん。」

俺が言葉に詰まったことを不思議に思い、勘違いをしたのか、茉依が急に謝った。

「いや、大丈夫。そういうことじゃないから。
 むしろ軽いし。
 ・・・よっと、ほらついたぞ。」

早口にそう言って、茉依をベッドにおろした。