「・・・はぁ。」

今の時間は、空き時間になっていて、授業は入っていない。

俺は、この前の出来事を思い出していた。



————あの日、茉依が学校を休んだ。

ちっちゃいころから、あまり病気をしない茉依が熱を出したという。

心配になってしまって、学校が終わってすぐ茉依の家にやってきた。


ピンポーン ピンポーン——————

「・・・・・・」

あれ?茉依、寝てるのかな?

もう一回押して、出なかったら帰ろう。

そう思って、チャイムに手を伸ばした瞬間。

ガチャ—————

「・・・っは、はあ、はあ、どちらさまですか?」

玄関が開いて、茉依のか細い声が聞こえてきた。

「いや、どちらさま、って俺だけど...
 って、え?!茉依?!
 え、ちょ大丈夫か?」

予想以上に、つらそうな茉依を見て、驚く。

「澄にい...?」

声で俺だと分かったのか、軽く顔をあげた次の瞬間。

バタッ——————

目の前で茉依が倒れ込んだ。

「おい、茉依!おい、おい!!!」

倒れた茉依を見た途端に、俺は完全に冷静さを失った。
茉依に駆け寄り、声をかける。