———————ポタッ

「・・あれ?雨?」

咲いている花の横に、大きなしずくが落ちた。

雨かと思って、空を見上げてみるが、雲一つないきれいな晴天が広がっている。

・・・あれ?

そう思って、瞬きをした瞬間、再び地面に大きな丸いしみができた。

寒いなあ、と頬に手を当てた瞬間、私は驚いた。

「・・・えっ、なんで?」

両目から、涙が出ていたから。

さっきから地面に落ちているしずくは、私の涙だった。

「あれ、なんでだろう・・・。」

花を見ていると、止まらない涙。


・・・ああそうか。
この花の強さがうらやましかったんだ。


私は、自分が応援するって言ったのに、結ばれたら結ばれたで、辛くなってる。
自分に負けそうになって、いや、負けて、逃げて。

でも、この花は逃げない。
負けずに、逆境と戦いながら、踏ん張って生きている。

その強さが、うらやましかったんだ。


—————私は、やっぱり、やっぱり澄にいのことが大好きなんだ...。


澄にいと付き合っている茉胡が、澄にいの笑顔を苦しみを辛さを一番そばでわかってあげられる茉胡が、すっごくうらやましいんだ。

「・・・苦しいよ。」

そういった私のつぶやきは、誰にも聞かれることなく、空に吸い込まれていった。