『あ、そんなに仲いいんだ。』

「お前も茉依の試合見に来てただろ、気づかなかったのかよ。」

『おう。気づかなかったな。
 茉依の試合見に行ってる時は、茉依のことしか見てなかったし。』

・・・は?それって、今彼女できたやつがいうことか?

まるで、茉依のことが好きって言ってるようにしか聞こえねーけど。

「ふーん。そうなんだ。」

あえて、そこには触れず適当に返した。

『とりあえず、茉胡のことは大切にしたいんだ。
 本当はダメだってこともわかってる。
 でも、茉胡のためなら、って覚悟はあるんだ。』

・・・本当に好きなんだな。

ってことは、さっきのは、気のせいか。

「そっか。まあ、澄のことだし。ちゃんと考えて決めたんだろうよ。
 なら、別に何も言わねーよ。
 男なら、ちゃんとしろよ。
 もう家着くから切るぞ。」

『おう、当たり前だ。
 分かった。ありがとな。』

プープープー・・・

「まじか・・・」

複雑な気持ちのまま家の玄関に手をかけた。

「ただいまー。」

・・・あれ?いつもならもっと茉依の声が聞こえるのに。

玄関で靴を脱いで、手を洗ってからリビングに入ると茉依がソファに座ってお茶を飲みながらテレビを見ていた。