「・・・い?おーい、まいー?茉依ー?」

「・・・っ。ん?あ、なに?」

「いや、ぼーっとして、どうした?」

「え、っと、あ、いや。なんかそろそろ眠くなってきたなあ。って。」

「あ、そうか。もう遅いしな。上まで上がれるか?」

「うん。大丈夫。おやすみ。」

「おー、おやすみ。」



バタン———————

自分の部屋に入るなりドアに寄りかかってしゃがんだ。


澄にいが、茉胡のことが好き...?


嘘だ。そんなわけない。
だって、澄にいの一番近くにいるのは今も昔も、私で。

澄にいを誰よりも長く見てきたのは、想っていたのは私で。

誰よりも、澄にいのことを知っているのは私・・・。


なんだこれ。あれ、こんなの違う。

なんだこれ。全部、全部全部。




―——————私が勝手に思っていたことだ。



ただ、勝手に私がそう思っていただけだ。
勝手に勘違いして、いつだって、誰よりも一番自分が有利で。
澄にいに対して、誰も私を超えられない。

って、勝手に思っていただけなんだ。


そっか。茉胡が私に澄にいへの想いを打ち明けたときも、相談してきた時も。
嫌だって思っても、焦らなかったのは。


私が一番だ。澄にいへの想いも、想っている長さも、知っていることも。茉胡が私に勝てるわけない。