「ただいまー・・・」

隣に人がいたら聞き返されるくらい小さい声だったと思う。

玄関には、家族全員のスリッパが並べられていた。


・・・つまり、誰もいない。

ほとんど無意識に、手を洗いカバンを持って部屋がある2階へと上がった。




「ふえっ、ひっ、——っはっ、うわああああああああああああああん。」

ベッドの上に膝を折り座った私は、誰もいない家の中に、留まることのない涙と泣き声を響かせた。


思いっきり、思いっきり泣いた。


喉が、枯れてしまいそうなほど。