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「どこに行ってらしたのですかっ!ラッド様!!」


涙目でそう言っているのは、アゲートさん。


兄様の帰城は、瞬く間に城中に知れ渡った。


今日中には、国民にも知らせなきゃいけない。



今、この執務室には、あたしと兄様、ライト、ウィン、アズロ、アゲートさんの計六人がいる。


ウィンとアズロは兄様と初対面だからか、妙に態度がよそよそしい。


アゲートさんに質問された兄様は、あははと笑う。


「いやぁー、世界中をこう、ぐるっと」


兄様は人差し指で、くるくると空中に円を描く。


「こんな大変な時にッ…、ルチル様も、何か仰って下さい!!」


きぃ~ッ、とでも言ってハンカチでも噛みそうなアゲートさんの様子に、あたしはたじろぎながらも、兄様に話しかける。


「え…えーっと、兄様、元気?」


「んー元気。お前こそ、元気そうで何よりだよ」