そんなデュモルの考えを読みとったのか、ユナはふっと笑う。


「僕より隊長の方が厳しいですけどねぇ」


そうか?と眉根を寄せて呟くデュモルのもとへ、どこからか一人の衛兵が駆け寄って来た。


「デュ、デュモル様!!と、ユナ様!!」


「その付け加えたような言い方、気に食わない」


ユナが不機嫌そうに言う。

デュモルは、衛兵の胸の紋章を見て、ん?と声をもらした。


「片翼の紋章…伝令部隊の使いの者か?」


「はッ!!そうであります!!緊急収集のお呼びをお伝えに参りました!!」


カルム城で働く者は皆、必ずどこかの部隊に所属する。


大きく分けると、文部と武部。


それぞれに属する人たちは、文官、武官と呼ばれる。


さらに、文部には書籍部、伝令部、商連部が、武部には戦闘部、護衛部がある。

その他としてメイド、執事もいる。


各部隊には長がおり、長のもとでさらに細かく小部隊に分かれていたりする。


そして各部には、それぞれ特有の紋章があり、制服のどこかに印されている。


ちなみにデュモル、ユナが所属する戦闘部では、右肩に短剣が描かれている。