「鈴木くんおはよ!
あたしのことも百合って呼んでよ!」



迷惑だったらいいよ…。


優くんは一瞬驚いた表情を見せる。
あと一押しだ。



「そっちの方が呼びやすいでしょ?」



「うん…まぁ」



優くんは素っ気ない返事をあたしに返した。
百合って呼んで欲しいけど、それは優くんが決めること。

これ以上言うことはできない。



「決定ね!」



この時、カバンを持つ手が震えていた。
脳裏に、昨夜のことが残っている。
傷つく、あたしの心。
誰にも見えない傷が、深く刻まれている。


その時だった。
後ろから木田くんの声が聞こえてきたのは。



「おい!優!」



後ろを振り返る。
そこには眉間に皺を寄せ、怒った表情を浮かべる木田くんがいた。



「ちょっと来いよ」




絡まる恋心。
一本の糸になる日はいつなのだろうか。