優くんがあたしの挨拶を返してくれた。
それが嬉しくて、涙が出そうになった。
些細なことかもしれない。
けど特別なことだった。
だけど優くんはこの時から、あたしの目を見てくれなかったよね。
今日は実力テスト。
内容は中学の問題。
受験のときと同じような問題ばかりだ。
あたしは必死にテスト問題を解いていく。
この時も、頭の片隅には昨日のこと、優くんの態度のことが存在していた。
静かな教室に広がる、シャープペンシルの音。
それが何かの音楽に聞こえてくる。
隣をちらっと見る。
問題を解く優くんの姿が見える。
どうして体が熱くなるの。
どうしてそんなにもかっこいいの。
あなたとの距離はあとどれくらい?
そして一時間目のテストが終わった。
事件が起こったのは、このあと。


