「あら、あなたが優くん?百合からいつも聞いているわよ。今日学校あるのにわざわざありがとうね」
「大丈夫です!百合のほうが大事ですから」
優くんの一言で胸がきゅんとする。
嬉しい言葉を聞けた。
恥ずかしくて、下を向く。
すると優くんが手を握ってきた。
幸せです…。
でももう時間はなかった。
「百合、そろそろ出国ゲートに行きなさい」
まともに別れの言葉を言えずに、搭乗の知らせを聞かされた。
お母さんはあたしの肩を持ち、出国ゲートに急がせる。
あたし、あたしまだ言ってない…
優くんに大事なこと…言えてないよ…。
「待って!」
あたしは優くんのいる場所へ駆けていき、抱き締めた。
この温もりを感じたい。覚えておきたい…いつまでも、離れていても。
「百合…」
優くんはあたしを包み込む、弱々しい声で名前を呼んだ。
こんなあたしを許して…あなたを置き去りにしたあたしを…許して…。


