ありがとう、瞳。
ブレスレット、大事にするね。
「瞳…ありがとう。大事にする…。あたし行かなくちゃいけないところあるから…行くね。」
瞳から離れ、涙を手で祓う。
ぽんぽんとあたしの頭に触れる瞳。
「笑いなよ、百合。笑顔は人を幸せにするんだから」
「うん!あたし…瞳に出逢えて良かった!本当にありがとう…。じゃあ、またね」
ブレスレットに軽く触れ、笑顔を見せる。
すると瞳も笑顔で返してくれる。
笑顔は人の心を癒す特効薬。
そう思いませんか。
「無事に帰ってきてね!!」
「うん!!」
ごめんね、瞳…。
あたしは約束をやぶってしまった…。
瞳を別れ、もらったブレスレットを眺めながら、博物館に向かう。
博物館に着いたのは、夕暮れの時だった。
閉館時間は17時。
入場券を買ったのは、10分前だった。


