優くんみたいに素直になれないから…。
だからこう言った。
「あっ…あれね…香水のこと…」
咄嗟の一言。
優くんは眉間に皺を寄せた。
「香水?」
意味分からないのは知っているよ。
でも今のあたしにはこれくらいしか言えないの。
「あたしがあげようとしてた香水…あるじゃない?あれの匂いにそっくりだったから…」
過去が走馬灯のように駆け巡る。
あの寒い日のことを。
まだ鮮明に覚えているよ。
冷たい態度を。
冷たい言葉を。
伝わらない想いを。
今も存在する『好き』を。
あなたは覚えていますか。
「あれは…ナナにもらったんだ…」
小さく呟いた言葉の中には、あたしを悲しませることばかりが詰まっていた。
締め付けられる気持ち。静かすぎる体育館が余計そうさせた。


