でもごめんなさい。
この感情は止まりそうにないの。



授業中、見てはいけないと思っても、優くんを見てしまう。
あの横顔に見とれてしまう。
めんどくさそうに授業を聞く態度や、クルッとペンを回す手。
5時間目は大抵体を伏せて寝ている。
風が吹くとふわっと揺れるオレンジブラウンの髪の毛。
毛先、一本一本が愛しい。


あたしはそんな彼を見つめて、小さく笑うのだ。


無防備に空いた手をぎゅっと握りしめたい。
そんな欲望を抑えて、あたしは授業に集中する。



その手で、もう一度…
あたしを抱いてくれますか。




授業が終わり、帰る支度をする。
今日は部活がないから。

隣をふと見ると優くんの姿はもうなかった。
きっと広瀬さんを迎えに行ったのだろう。
本当に羨ましい。
そして自分は本当に厚かましい。


醜い、汚い。
知っているよ。




「はぁ…」



溜め息を何度漏らしても解決策が見つからない。
あたしは帰る為、教室から出ていく。