だからあたしはこう安里くんに言った。
「その日はちょっと…」
『もう先約とかある?百合の誕生日だから一緒に過ごしたい』
安里くんから必死さが伝わってくる。
でもどうしても…あの記憶は消したくない。
だけどこのままでいいの?
あたしは目を閉じて、ひとつひとつ整理していく。
選ばなきゃ。
前には進めない。
あたしの誕生日に一緒に過ごしたいと願う彼氏。
もう隣にはいないのに、笑顔が見たいと望んでしまう元彼の存在。
そしてもうひとつ。
あの日の記憶。
月明かりの部屋で、あたしを優しく包み込む優くんの姿。
あたしに微笑みかけてキスをする。
そしてぎゅっと抱いて耳元で『好きだよ』と囁いてくれる。
まだこんなにも鮮明に思い出せるよ。
あたしは、罪な女。
追いかけても、追いかけても届かないのに、走るのを止めないあたしは、最低すぎる。


