そうしたら自然と優くんを忘れていくのかな。
不思議だよね、気持ちって…。
「安里くん、まだ名前で呼んでくれないの?」
「…まだ、かな。呼んだら勿体無くない?」
安里くんはあたしを名前で呼んでくれない。
小林、とそう呼ぶ。
理由は知らない。
聞いても教えてくれないからだ。
あたしは気にしないつもりだったけど、やはり気になってしまう。
「勿体無いってなによ?早く呼んでね?」
「じゃあさ、交換条件。」
安里くんはそう言って、歩くのを止めた。
安里くんを見上げると、真剣な表情をしてあたしをずっと見つめていた。
少しだけ金縛りに遭う。こんな表情を見たのは初めてかもしれない。
ちょっと怖くなった。
交換条件?
何を言い出すのだろう。
「ん?交換条件?」
「携帯に貼ってあるプリクラ、剥がしてくれるなら百合って呼ぶよ」


