「学校…行かなきゃ…」



あたしは無心のまま家を出た。
薄暗い空。
まるであたしの心のよう。
空から地上へと視界を移すと、そこにはある人が立っていた。
申し訳なさそうな顔を浮かべて。
それを見たあたしは腹が立ってくる。
今更…何か用?



「百合…あのさ…俺、どうしてもお前に謝りたくて…」




「今更?やめてよ。謝られても迷惑…」



本当は憎くてたまらないのに、殴れない自分がいる。
先輩の存在にかまってあげられる程、心に余裕はなかった。


あたしは一歩歩み寄り、先輩を睨み付ける。



「どいて…」



「本当にごめん!!許してもらえないって分かってる。でも俺…こんなことになるなんて思ってなくて…。本当に別れるなんて…」



深々とあたしに頭を下げる先輩。
こんな先輩を見たのは初めてかもしれない。
先輩はあまり人に対して謝らないから。


だから何て対応していいか分からなかった。