この次の瞬間、優くんから信じられない言葉を聞いた。



「離せ」
「嫌だ」



廊下に響くあたしたちのヒステリックな声。
この声を聞いた生徒たちがあたしたちの周りに集まる。
気にならないわけがない。
でも今はそれどころではなかった。



「もう百合を好きじゃない」




…ぱりん…
ガラスで出来た心が一気に粉々になった気がした。
あたしを好きじゃないの?
本当に好きじゃないの?

「本当に?もう百合を好きじゃないの?」



優くんの腕を掴み、体を揺する。
目覚めて…昔の優くんになってよ。



「じゃあ、優くんが百合を幸せにするって言ったのは嘘なの!?」



言ったじゃない。
あたしの誕生日に…
大人になったら結婚指輪を買ってくれるって約束したじゃない。



あれも嘘なの?


優くんを見上げると何かに耐えるような表情をしていた。