どこにいるかなんて知るわけがない。
頼りは、勘だけ。
あたしは走る。
ぬるい空気の中を無我夢中で走るのだ。
ヒールのあるサンダルを履いてきたことに後悔をする。
少しだけ走っただけなのに、もう足が痛い。
限界が近いのかな。
道路の脇でサンダルを脱ぎ、足を見る。
やはり小指と薬指の皮が捲れている。
赤くなった指を見て一気に悲しさが増す。
会いたいのに、遠くて。抱きしめたいのに、いない。
「優くん…」
額から零れ落ちる汗のように、瞳からは涙が零れ落ちる。
そして涙を手で拭いて、そっとペアリングに触れるのだ。
少し大きいペアリング。
あたしたちはお互いのことがまだ知れていなかったのかな。
不安なら『不安』だと。会いたいなら『会いたい』と。
素直に気持ちをぶつけられたらいいのに…。
だから恋愛は難しい。


