先輩の家に入ったのはいつぶりかな。
過去を遡っても思い出せない。
随分昔ということかな。
「お邪魔します…」
雨のせいだろうか。
薄暗い廊下。
不気味に思ってしまう。
辺りを見渡しながら、先輩の部屋を目指す。
トントン…とノックをすると部屋の中から『入って』と声が聞こえてきた。
先輩の声を確認し、部屋をゆっくり開けていく。
「先輩?」
薄暗い部屋。廊下と同じ色をしている。
電気も付けないで、先輩はパソコンの前で何か作業をしていた。
「あの、渡したいものって?それもらったら帰ります」
先輩は眼鏡を外しながら、こちらに体を向けた。
「良かった、来てくれて。俺が渡したいものはこれだよ」
そう言って近くに置いてあったノートの中から一枚の紙を取り出した。
そしてそれをこちらに持ってくる。
「これって…」
それは、最初で最後のツーショット。


