いきなりのことで分からなくなる。
暑さのせいかもしれない。
「え…?写真?」
「記念に。いつでも百合の顔を思い出せるようにさ。ほら、俺たちって写真とか撮ったことなかっただろ?」
こう言って、笑いながらコンパクトデジカメを見せる先輩。
なんて答えたらいいか分からない。
どうしよう?
どうしたら?
「写真撮ってくれたらアイツには何もしないよ」
アイツ…それはきっと優くんのこと。
何もしないという約束をしてくれるなら…
曖昧な気持ちがいけなかったのかもしれない。
あたしは先輩と写真を撮ることにした。
優くんに何もしないという条件つきで。
先輩があたしの肩を抱き寄せてカメラを向ける。
「笑えよ?百合…」
隣で囁かれるボイス。
暑さなどどうでも良かった。
太陽の光に負けないくらい眩しいフラッシュ。
もうこの時、優くんとの待ち合わせ時間の10時は過ぎていた…。


