その日もいつものように、住み慣れた町を闊歩していた。昨日までの雨が嘘のように、太陽が眩しかったぁ。冬が嫌いな僕等にとって、この太陽は日中のストーブだった。風は厳しい。まだ濡れた大きな竹の木の葉っぱから雨の雫が僕に落ちてきて、冷たかった。どこの家も、「今日こそは」とばかりに洗濯物をいつもより多く、ベランダに並べていた。ひとつのベランダに約二十人の飼い主。いや、これはあくまで、全部が飼い主だったら、って仮定だけど。もちろん僕等野良には飼い主なんていないさ。自由気まま。だから僕は今日も歩き回る。何もいつもと変わらなかった…わけでは、ない。少し体の調子が良くなかった。3キロ半ばの僕の体は、いつもより重く感じられた。