その日は土砂降りの雨だった。僕は、外科医として大学病院で働いていた。仕事の帰りがけ妹の誕生日の花を買うために、花やによったのが運のつきだった、エナジーバンパイア彼女みたいな女性のことを言う。
花やには色とりどりの花がありそこで働いていた店員に僕は一目ぼれした、黒目勝ちで細身の体、でも出る所は出てるスタイルのいい切れ長の目が印象的な女性だった。
僕の方から彼女に引き寄せられるようにアプローチした。
「妹の誕生日の花が買いたいんですが」
「何かいいものを見繕っていただけませんか」「このカサブランカなんてどうでしょうか?」「後ガーベラの花束とかも妹さんならいいと思いますよ」そういって橙、黄色、ピンクの花束を彼女は作ってくれた。

「いつもここにいらっしゃるんですか?」「ええ半年前から働き出しました」

「じゃあまたここにこればあなたに会えるんですね」「働いている以上は会えますね」そういって不思議なものを見るように僕を見た。

僕は意気揚々でその彼女に作ってもらったガーベラの花束を妹のために、持って帰った。「お兄ちゃんおかえり」「今帰った」「ほい、誕生日おめでとう」「ありがとう」「うわーきれいなお花」「満足した?」「うん」「ケーキもあるぞ」

妹には母親が過労で倒れてから苦労ばかりかけた、大学も中退させて家事と母親の面倒を全部見てもらっていた。

だからこんな時は、大事にしないといけないと思ってる。

「ケーキ皿は?」「そこの棚に入ってる」ガシャッ「はいお兄ちゃんのも」「うんありがと」


そういって妹の千佳はくりくりした目をして僕を覗きこんだ。「お兄ちゃんどっちがいい?」「僕はモンブラン」「お前は?」「私ショートケーキ」

そういいながら嬉しそうにケーキ箱からショーとケーキとモンブランを取り分けた。


「おいしいね」「おいしい」「誕生日、19回目の誕生日おめでとう」「そうだねもう来年は二十歳なんだよね」「うん」「来年は二十歳」「責任をなんでも取らないといけない年になる」

「お兄ちゃんばかりに頼れないから私、通信大学に行こうと思ってる」「司法書士の勉強するんだ」「難しいぞ司法書士なんて」「でもお母さんにも無理させれないしこれ以上お兄ちゃんの面倒になりたくないし」「面倒なんて」「兄弟なら当たり前のことなんだから」

「そうか自立心があるのはいいことだ」「うん来年は二十歳だから」

そういってまたくりくりした茶色の目を嬉しそうに瞬かせた。妹というが血はつながってない、父親の連れ子で僕の母親は再婚だから。


でもやっぱり血はつながってなくても僕には、かわいい妹なんだ。