あめつき。






必要ないくらいに
何かを壊せてしまえたら
そんな世界を望んで病んだ

駆け出した太陽は反抗期
月を照らさないもんだから
空はいつも暗いんだ
立ち込める雲の厚さは僕が読めなかった
君の好きだった本みたいだ

イヤホンから聞こえる世の中の本音を
脂まみれの指先がそれを阻止した
スナック菓子なんか美味しくなくて
僕が欲しいのは宝石みたいに輝くアレ

太陽がその熱で産み出した雨は
可哀相に落っこちて破裂する
飛沫をあげた真っ赤な鯨を
僕はちらっと見ただけだった

僕の掌で弾けた滴は
光を放ちトキメキに変わる
夢に変わる愛に変わる
悲しみに変わる寂しさに変わる
誰かの心となって地面へ急降下

ジュエリィみたいな飴玉は
ころんころんと足元へ
雨粒の煌めきを
月が集めて夜を照した

巨大な魚は世界を回り
飴玉全部飲み込んで
僕の指先の油分で更に燃え上がる
月はまた光を放つ

感情を無くした僕ら
感情を捧げた僕ら


必要ないくらいに
何かを壊せてしまえたら
そんな世界は来ないのに

太陽だけが眩しくて
君の届かない願いと消えた


無になったここは
また新しく創り直そう

君が、
もう泣かない世界を