「私、野田さんのことがずっと好きで…。ごめんなさい…」
ごめんなさいで済まされる話だとも思えないけど?
消え入りそうな声でそう呟いた希ちゃんは、ずっと下を向いていて目が合わない。
「希ちゃんから勝を誘ったってこと?私と勝が付き合ってたの知ってて?」
「はい。」
極めて冷静に、責め立てないようにできる限り落ち着いた声色でそう聞いた。
すると、希ちゃんは今度はしっかりと私の目を見てそう答える。
「いや!」
「そう…」
希ちゃんを庇おうとしたのか、一歩前に出て話だそうとした勝を遮ってふたりに背を向ける。
いまだに状況はよく掴めていないけど、ひとつだけ言えることがある。
私はここには居られない。
それだけ悟って、最低限の荷物を持ち1年とちょっと過ごした家を出た。
途中で勝に色々と話しかけられたような気がしたが全く耳に入ってこなかった。

