なにも言ってはくれないけど、気持ち良いくらい軽快にご飯をかき込んでくれる課長は多分美味しいと思ってくれているはずだ。
焼き魚を綺麗に食べる課長を見ていたらなんだか私もまた食べたくなってくる。
「まだ食べてなかったのか？」
「いや、食べたんですけど課長が食べてるの見たら食べたくなっちゃって」
こっそりとご飯をよそったはずだったのに、あっさりばれてしまった。
確実に太るだろうな、とは思うけどもういいや。
晩ごはんを食べてる課長を見ているだけっていうのもなんだし、私も食べちゃえ。
ちなみに今、私は当然のようにすっぴんだ。同居生活1週間にして、もうなんの抵抗もなくなってしまった。
課長は私なんかに全然興味なさそうだし。
でも、だからこそこの同居生活を提案したんだと思う。
本当に困ってる部下をほっとけなかっただけなんだろうな。
課長は案外お人好しだな、なんて思いながら大根おろしをご飯にかけて醤油を垂らし、絶品ご飯に舌鼓する。
この同居生活に、同情以外の感情なんてない。
そう、思っていたのは私だけだったとは知らずに。
