どん底女と救世主。



このふたりに接点があったことさえ、私は知らなかった。


確かに、私と希ちゃんが勤める営業一課と勝の宴会部門は繋がってはいる。


大口の契約が取れて、その宴会やパーティが成功を収めたときに打ち上げ、祝勝会みたいなものをすることもある。

それでも、あって年に数回程度の話だ。

その時にだって、ふたりが話している姿なんて見たことない。


なにより、希ちゃんは私と勝が付き合っていることを知っていた。


基本的に私と勝の付き合いは同期以外には隠していたけど、会社で親しそうに話す私たちの姿を見た希ちゃんに聞かれていた。


『野田さんと付き合ってるんですか?』
と。


だから私は、はっきりと付き合っていると答えた。

希ちゃんは信頼できる後輩だと思っていたから。


だから、知らなかったとは言わせない。