どん底女と救世主。




私の感情はまちがっているんじゃないかって、ずっと考えていたから、課長に肯定されて、ここ数日もやもやとしていた心の中が晴れていく。


深山課長は、思ってないことは言わない人だ。
だから、今の言葉も私を慰めるために話を合わせたわけじゃないはず。


それが分かるから、余計に気持ちが軽くなる。


あ、まずいかも。


お酒のせいなのと、気が緩んだことで一気に眠気が襲ってきた。


「大丈夫か?」


そう言って眉をひそめる課長の姿がぼやけて見える。
ああ、本格的に酔っ払ってきたかも。


「眠いです…」


なんて、かつての天敵に何を言ってるんだ、私は。


「送っていくから、意識あるうちに住所言え」

「住所…。えっーと。あ、もう家ないんでした、私。」

「は?」


本当にあの深山課長かと疑うくらいの素っ頓狂な声を上げた課長は、今日一番と言っていい程眉間の皺が深くなっている。