どん底女と救世主。




主任の雰囲気に柔らかさを感じるのは、会社じゃないからかな。

その雰囲気の違いに、なぜだか頬が熱くなるのが分かった。


いや、待て待て。なんで天敵鬼上司に頬を赤らめてるの、私は。


大体、ずるい。いつもは眉間に皺を寄せて、容赦なく仕事を振ってくるのに。

ふたりきりのときに、そんな笑顔を見せるなんて。
元がイケメンなんだから、様になり過ぎる。


火照る頬を落ち着かせるため、手元にあったウーロンハイを煽る。


氷の溶けきったそれは、熱を冷やすのにあまり効果を得られない気はするけど。


とりあえず、話題を変えておこう。


「そういえば、今日はお見苦しいところをお見せしてすみませんでした」


そう思って私が振ったのは、今日のミーティングルームでのこと。