「ちょっと!何してるの?!」
待って、何が起きてるの?この子、何してるの?
「ちょっと、なんなの?!」
「なんなのって、先輩が降りられないようにしてるんですよ」
降りられないようにしてるんですよ、って…。
そんなの困る!
資料室なんて、そんなに人が来るところじゃない。
ましては就業時間外、しかもクリスマスで人が少ない今日、こんなところに置き去りにされたら、朝までコースだ。
「希ちゃん、なんでそこまでするの?そんなに私のこと嫌い?」
「嫌いですよ」
「なんで?私から勝を奪ったのは希ちゃんの方でしょ」
「そうですよ。先輩と野田さんが付き合ってること知ってて野田さんに近づいたんです」
「なんでそんなこと…」
やっぱり、確信犯だったんだ…。
「新人研修で野田さんの下に就いたとき、優しく声かけてもらって。それから私、野田さんに憧れてたんです。
でも、野田さんは冴島先輩と付き合ってた」
希ちゃんは下から睨みつけながら言う。

