「冴島君。君、後輩をいじめてるって本当かい?」

「へ?」


人事部マネージャーの仙崎さんの第一声がこれだったもんだから、私はつい素っ頓狂な声をあげてしまった。


誰が誰をいじめてるって?


本日2度目の寝耳に水。今度は背筋が凍るほどの冷たい氷水を流しこまれたような気分だ。


「コンプライアンス委員会から今朝報告があったんだ」

「コンプラ部からですか?」

「ああ」


情報源はどこかって流石にもう分かる。
そこまでするの、希ちゃん。


「私、いじめなんかしてません」


私が希ちゃんをいじめたなんて事実無根だ。それどころか、私がいじめられてる気がするんだけど。


こんなことで人事に目をつけられてたまるかと、必死に訴えてみるものの神からも仏からも見放された私には無意味なことだったらしい。