どん底女と救世主。



「そういえば亀井主任、二人目って言いましたっけ?」

「ああ」

「じゃあこういうのはどうですか?」


同じ柄のロンパースとTシャツを選び、深山課長の前へと並べる。


「おお、いいな」


良いことを閃いたと自慢げに私が聞くと、課長も目を輝かせる。


選んだのは、上のお子さんと生まれたばかりのお子さんのお揃いのお洋服。

上のお子さんが生まれたときには、深山課長は名古屋に居てお祝い出来なかったらしいしちょうど良いでしょ。


「決まりました?」

「待て、そう急かすな」


お揃いに見える組み合わせを何パターンか選び課長に並べてから10分ほど経った。

なにやらぶつぶつと呟きながら、未だどれにするか悩んでいる課長。

ラーメンを選ぶときはあんなに早かったのにな。


真剣な顔つきで眉間にしわを寄せて、かわいいベビー服を手に持つ深山課長の姿はいつもからは想像できなくて。

なんだかアンバランスで可愛い…。


そんな口が裂けても言えないことを思いながら、課長が選び切るのを待っていた。