どん底女と救世主。



「妹から一番嬉しかった出産祝いとか聞いてないのか?」


大きいと言われた洋服を棚に戻し、振り出しに戻って多少うんざり気味の課長がそう聞いてくる。


「お尻拭き1ダースとかおむつ1ダースとか言ってましたね」

「色気ないな」


確かに。あまりにも実用的過ぎる…。

短大入学とともに、同じく上京してきた妹はそのままこっちで結婚し、お姑さんの意向もあり、実家に帰らずそのままこっちで出産した。


だからよくその時期に妹の家に顔を出していて。
『おむつがいくらあっても足りないー!』とぼやいていた妹を切実だなとは思って見てたけど。

でもこれもまた、新生児用のおむつを貰いすぎても使い切らないうちに大きくなって余るとか言ってたっけ。


それに経験豊富なママから贈られるのと違って、深山課長がそれを贈るとちょっと投げやり感があるかも。