「その洋服はサイズが大き過ぎると思いますよ」
選び始めてから10分ほどで、贈り物コーナーを離れてしまった課長。
あまりしっくり来なかったらしい。
今深山課長が見ているのは、こども服コーナー。
気に入った洋服があったらしく、ずっとそれを手にしている課長だけど、明らかにサイズが大きい。
しかも、課長の手にしているサイズのものが、その洋服の中で1番小さい。
「大きくなってから着て貰えばいいんじゃないか?」
「あんまり大き過ぎるものだと着れるくらいに成長した頃には季節が合わなくてなってたりするんですよ」
「詳しいな」
「甥っ子が居るので…」
「へえ。冴島、兄弟居るのか。お兄さん?」
「妹です。2年前に先越されました…」
洋服を持ったまま、課長は憐れみの目を向けてくる。
そんな目で見ないで、余計悲しくなるから…。
「課長のご兄弟はお姉さんだけですか?」
「ああ」
そういえばお姉さんも独身だったし、甥っ子さんも姪っ子さんも居ないのか。
だから余計にこういうことに慣れてないんだろうな。

