「あんたが園田 希から野田君を盗ったって!」
「へ?」
寝耳に水、というのはまさにこのことで。
それどころかキンキンに冷やした水を1リットルくらい耳の中に流された感じだ。
しかも、かなりの勢いで。
「私が希ちゃんから勝を?」
逆じゃなくて?
そう聞くと、絵里はこくりと頷いた。
え、おかしいおかしい。希ちゃんが私から勝を盗ったんだよ。
頭が痛くなってきて、こめかみを押さえる私に絵里は神妙な面持ちで続ける。
「私の後輩に園田 希と同期の子がいるんだけど、昨日の夜LINEでそうやって回ってきたって教えてくれたの!」
眉間に深い皺を作りながらそう言う絵里の言葉が頭に入ってこない。
「しかも同期とか接点のある先輩後輩何人かに送ってるらしいよ」
なに、それ。

