法人営業部 第一課。


私と希ちゃんの所属する通称営業一課は、今日も朝から大半の営業マンが営業に出かけている。


残っているのは、事務を担当する私と希ちゃんと派遣の女性のみ。


かなりの精神力を使いオフィスへと足を踏み入れたが、希ちゃんと目が合うことはない。


謝られたりすることもなく、意外にも気まずそうな雰囲気はない。


むしろ、睨まれているような気がするのは気のせい?


***



妙な違和感を感じながらも、なんとか午前中の勤務を乗り切り昼食のために社員食堂へと向かう。


そして、なぜかここでも妙な違和感が。


なんだか視線を感じる気がする。

皆がよそよそしい感じだ。


あれ、私を見てひそひそ何か言ってない?


嫌な予感がして思わず身震いをしたとき、


「咲!」



日替わり定食の乗ったお盆を手に、同期の矢部 絵里(やべ えり)が大きな声で私の名前を呼びながら、大股でこちらへと近づいてきた。